2000年代にはライブドアの社長として世間を騒がせた堀江貴文氏ですが、プロ野球球団の買収やフジテレビ買収騒動、さらには粉飾決済のライブドア事件で逮捕され実刑判決を受けたことで有名でしょう。最近ではテレビ番組に出演したりYouTuberとしても活躍していますが、日本でも数少ない民間宇宙ビジネス企業を立ち上げるなど起業家・実業家としても活躍しています。

この記事では堀江貴文氏の資産や年収、経歴などについて振り返っていき、堀江氏の成功や失敗からの学びについて解説していきます。

堀江貴文氏の資産とは|資産の内訳

堀江貴文氏の最近の資産について詳細な内訳は不明ですが、ライブドアの社長だった頃には2000億円から3000億円ほどの資産があったと過去のメディアでのインタビューで答えています。これは主にライブドアの株式などの有価証券だったと考えられますが、いわゆる“ライブドア事件”で逮捕され有罪判決を受けた後ライブドアは東証への上場を廃止しています。

堀江貴文氏の資産:インターステラテクノロジズ

出典:インターステラテクノロジズWebサイト

 

出所後、堀江貴文氏は自身の資産額などについて多くを語っていませんが、YouTubeの動画などでは度々資産形成などにコメントしており「貯金は必要ではない」「FIRE(アーリーリタイア)をしたい考えが理解できない」「投資なんかよりも起業する方がいい」などと積極的にスタートアップをしていくことを推奨しています。YouTubeの動画の中では貯金額は多くないことを明かしており、「貯金は数百万しかない。1000万円もない」と話しています。資金の多くは事業に投資していると考えられるため、使える現金は余らせず投資や事業立ち上げに回していることがわかります。

堀江貴文氏の資産の多くは有価証券や事業の評価額などであると考えられます。堀江氏はライブドア事件以降はIT業界などに事業を持っているようではなく、現在までに実際に自身が中心となって立ち上げた事業は民間宇宙開発のインターステラテクノロジズが主だと思われます。同社のウェブサイトによるとは2013年に本格的に始動し、堀江氏は取締役兼ファウンダー(創業者)の肩書ですが、未上場企業なので未公開株を保有している可能性が高いと思われ、まだ事業の黒字化はできていないようです。それでもすでに評価額は135億円程度に見積もられているため、堀江氏のシェアの割合によっては数十億円程度の資産を有している可能性はあります。

堀江貴文氏のYouTube

多くの有名実業家には事業のほかにも不動産や有価証券などの形で資産を所有している人が多いですが、堀江氏はこれらも所有していないとされています。というのも、自身のYouTube動画内で不動産投資についても「不動産投資はしない」と話しており、その理由として「不動産投資には流動性がなく、田舎の物件などはすぐに減価する」としています。そもそも本人に不動産への興味がないと思われ、現在はホテル暮らしをしていることを公言しています。

株式についても「株式投資で稼げるリターンは少ないから自分で起業した方が稼げる」という持論を持っているため、多くの有価証券を保有していない可能性があります。

以上のことから堀江貴文氏の現在の資産は、過去のように数百億円から数千億円ほどではないとは考えられますが、自分の投資している事業などが主な資産と思われます。

堀江貴文氏の年収

堀江氏の年収ですが、ライブドア社長時代の最高年収は220億円だったことを自身のYouTubeチャンネルの中の企画で明らかにしています。

堀江貴文氏のYouTube

しかしライブドア事件後は200億もの年収があるとは思われず、携わっているインターステラテクノロジズの事業もまだ黒字化には至っていないため大きな年収を受け取っているとも考えにくいです。

堀江氏のYouTubeチャンネルは本稿執筆時点で177万人のチャンネル登録者がおり、YouTuberとしての実績もあります。一般的に100万人以上のチャンネル登録者数がいると平均的な月収は300万円から1000万円とされていますので、年収で見ると3500万円から1億2000万円程度の年収をYouTubeで稼いでいると考えられます。

さらに有料メールマガジンも展開していて、月額880円で利用することができます。登録者は公にされていませんが、過去のメディアでのインタビューで1万5000人程度いると述べています。これを元に試算すると有料メルマガだけで月1320万円近くの月収を稼いでいることがわかり、年収1億5840万円になる計算です。ただ、メルマガの登録者数は増減しますので必ずしもこれくらいの年収が得られているとは限りません。

堀江貴文氏のオンラインサロン

また、堀江氏はオンラインサロンも開いていて、「堀江貴文イノベーション大学校」という名前で会員制コミュニケーションサロンを展開しています。月額1万1000円で入会することができ、本稿執筆時点で630人ほどの会員がいるとされていますので、単純計算で月に690万円ほどの収入を得ていると考えられます。これは年収に直すと8200万円程度になりますが、オンラインサロン会員の定員は2500人とされているので最大で月2750万円、年4億円程度の収入を得られる計算となります。

さらにこれらの年収に加えてテレビ番組やイベントへの出演料、その他投資している事業からの配当金などが発生している場合はさらに年収が増える可能性がありますので、堀江氏の年収は少なくとも3億円から6億円程度になるのではないかと考えられます。

堀江貴文氏の生い立ち、経歴

生年月日 1972年10月29日
出身地 福岡県八女市
最終学歴 東京大学中退

堀江氏は1972年10月29日に福岡県で生まれました。本人曰く「ど田舎」な場所だそうで、実家は祖母の家を建て増ししたためにとても大きな自宅で育ったと話しています。この経験から大きな家に対して大きな価値を覚えることはなく、『金持ちになって大きな家に住みたい』と言う人たちの心理がよくわからないと発言しています。これが不動産投資に対して消極的なマインドセットを形作ったと考えられます。

小学生の頃から勉強が得意で、中学と高校は福岡県内で1位とされている名門校の久留米大学附属中学校・高等学校に進学します。ここではソフトバンクグループの創業者である孫正義氏の弟の孫泰蔵氏と同級生になります。

大学は東京大学に現役合格して進学しますが、地元の九州大学に進学する同級生が多い中東大を選んだ理由について東京で面白い人に会いたいと思ったから、としています。事実、東大進学後はほとんど授業に出席せず、プログラミングのバイトでインターネットに出会い、これを起業のアイデアにして1996年にライブドアの前身となる有限会社オン・ザ・エッジを設立し、起業します。

起業資金ですが、この当時単なる大学中退だった堀江氏に大きな資産はなく、貯金額もたいしてなかったことを過去にメディアで話しています。それでも銀行から資金を借り入れてレバレッジをかけることにより、ROIを高めることができればそれだけ収益化が早くなることを身をもって体験することになります。この体験から堀江氏は貯金には反対する立場をとっており、「会社設立費用を貯めるために時間を無駄にするよりも借りて事業を早く始めた方がよい」というマインドを持っているようです。

2002年になるとオン・ザ・エッジが経営破綻したライブドアから事業を譲受し、新生ライブドアが誕生します。

堀江貴文氏はどのように成功したかのか

堀江貴文氏といえば『ライブドア事件』が思い出されますが、この事件は10年以上経った今でも議論の的となるトピックです。というのも、堀江氏がプロ野球球団買収に乗り上げて以来、『ライブドア』の名前は急速に人々に知られるようになりインターネット企業の認知度も急上昇するようになったからです。

ライブドアの成長

前身のオン・ザ・エッジは主にリスティング広告ディスプレイ広告のようなインターネット広告事業で成長を遂げましたが、ライブドアに移行しウェブポータルサイトを展開します。IT産業の成長と共に事業を拡大し、六本木ヒルズ森タワーに移転するなど時代を象徴するIT企業へと成長しました。

プロ野球球団『大阪近鉄バファローズ』買収計画

2004年の大阪近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併問題をうけてライブドアが買収に乗り出しました。結局買収は実現せず、楽天が宮城県仙台市を本拠地とした新球団の楽天ゴールデンイーグルスを誕生させることになるのですが、このときの買収失敗の理由について堀江氏は後にメディアで『買収はほぼ決まっていたが、大御所に挨拶をしなかったから破断となった』という旨の発言をしています。

フジテレビ買収計画

プロ野球球団買収と同時期に堀江氏はフジテレビの買収にも動き出します。フジテレビの大株主はニッポン放送なのですが、総資産規模がはるかに小さいラジオ局の企業が同社よりも資産価値の高いフジテレビを所有しているというねじれ構造に目をつけた堀江氏は、ニッポン放送株を買うことでフジテレビを傘下に置くことを計画します。

堀江氏はフジテレビの買収について戦略的な理由があったことを述べており、当時のテレビ局の収益は全て広告収入によるものでしたが、インターネットがより盛んになればテレビ離れが進み、広告収益が減少することを読んでいました。そのことを警告したうえで堀江氏はテレビがインターネットメディアに進出することで今で言う“サブスクベース”のビジネスモデルを提案したのですが、当時の人たちには理解してもらえることなく買収が失敗してしまいます。

ライブドア事件から実刑判決

ライブドア事件とは2005年に発覚したライブドア社の粉飾決済並びに有価証券報告書への虚偽記載などの疑いによる証券取引法違反の罪によって堀江氏ならびに当時の取締役らが逮捕・起訴された事件です。

当時から堀江氏は一貫して何も間違ったことはしていないと容疑を否認し、法律の専門家の間では最悪のケースでも執行猶予は付くと思われていましたが、まさかの実刑判決を受けました。

ライブドアの株価も暴落し、一部の株主から損害訴訟を起こされると堀江氏は自身の資産約208億7000万円をライブドア社に引き渡すことで和解しました。

堀江貴文氏の強さとは?

ここまで見ていくと堀江氏は懲役刑や資産の引き渡しなどたくさんの失敗をしているようにも見え、成功しているようにも見えないかもしれませんがそのカリスマ性と経営センスは卓越したものがあります。しかし、堀江氏の強さは単に上場企業の社長だったということではなく、むしろライブドア事件後の彼の生き様にあります。

出所後、堀江氏は卑屈になることなく堂々と自分が興味のある分野に事業や投資を展開している点にあります。資産や会社を失ったことに対して全く後悔や後ろ向きな発言をすることなく、今現在を邁進している姿は失敗を経験した人にとっても勇気づけられるものでしょう。

堀江貴文氏のしくじり

出典:しくじり先生 俺みたいになるな!!【公式】YouTube

堀江氏は人気番組「しくじり先生 俺みたいになるな‼︎」のなかで失敗について以下のように述べています。

  • しくじってもマイナスにはならない ゼロになるだけだ
  • 過去にとらわれず未来におびえず 今を生きろ!

上記のように、堀江氏は資産を失う経験をしているものの落ち込むことなくYouTubeを始めたりメルマガで読者を獲得するなど常に何かにトライすることで安定的な収益を手に入れています。

反・拝金主義が堀江貴文氏の成功のカギ

堀江氏が大きな失敗をしてもカムバックできる大きな要因は『お金に頼らない』点にあるかもしれません。堀江氏は資産形成や貯金、不動産投資などに対して一貫して否定的な立場をとっています。

堀江氏に言わせると資産形成をすることは『人よりもお金を信じている』ことであり、老後の心配をするということは『他の人から助けてもらえない』と考えているということになります。お金はツールであって頼りにするものではなく、自分が困った時は人に助けて貰えばよい、というのが堀江氏の考えの根底にあり、お金を増やすことに勤しむことは拝金的でさえあるとも言えます。このことから堀江氏は自分の興味のあることや人々に対して惜しみなく自分の資金を投資し、将来的に経済的な困窮に陥ったとしても誰かが助けてくれるだろうという考えのもと今を生きていると言えます。

堀江氏は一部では『儲け主義の成金』のようなイメージがありますが、実際は真逆のお金に頼らず人との繋がりや投資を大切にしていることが彼の成功の鍵となっているようです。

堀江貴文氏の資産を種別に考察

前述の通り、堀江氏は資産形成に対して無頓着な姿勢をもっているため不動産や土地などの固定資産や有名株の有価証券を持っていることは少ないと考えられます。以下では堀江貴文氏の資産を種別で見ていきます。

流動資産(現金など)

堀江氏は現金があれば使うこと主義のため、貯金は1000万円もないことを公言しています。そのため、バランスシート上は現金や預金などの流動資産は著しく少ないと考えられます。

固定資産(不動産・土地など)

こちらも同様に堀江氏は不動産投資についても関心がないことを明言しており、自身もホテルで暮らしていることを明かしています。

堀江貴文氏のHONDAジェット

また、自身のYouTubeのなかでもホンダのプライベートジェットを購入したことを明かしています。現在も所有しているかは不明ですが、所有していればプライベートジェットも大きな資産価値を持っていると思われます。

有価証券(株式・仮想通貨)

堀江氏はさまざまな事業に投資家として参加しているため、事業からの報酬として現金ではなく株などの有価証券の形で受領していることが考えられます。

また、堀江氏は仮想通貨についても造詣が深く、イーサリアムを保有していることをツイッター上でも公言しています。イーサリアムはICOで購入しているため上場時の価格よりもはるかに安い価格で購入していると考えられます。堀江氏のツイッターによれば2021年の時点で資産価値は2億円ほどにまでなっているそうですが、現在も保有しているかは不明です。ETHをプレセール仮想通貨の段階で購入していることは投資家としての先見の明も持ち合わせていることが分かります。

まとめ

この記事では時代の寵児としても見られることのあった堀江貴文氏の資産や年収について解説してきました。

堀江氏は経済的な成功を手に入れていることからお金が好きなように思われがちですが、実際は拝金主義とは全く逆のお金をどんどんと与えることに力を入れていると思われます。未来の資産や貯金などを心配することなく、自分が現在興味のあることに邁進し、他者と共有し合うことが大きなリターンとなり返ってきて、それを再投資するというサイクルそのものが堀江貴文氏の資産となっているとも言えます。

堀江氏のように成功したいと考えている方はお金をどう増やすかを考えるだけでなく、どう使おうかも考えることができると拝金主義ではない豊かな人生を手に入れるかもしれません。