ビジネスにおいて、カスタマーエクスペリエンス(CX)は最も基本的な概念のひとつです。当たり前すぎて、意味が分かっていないけど今更聞けないと感じている人も多いのではないでしょうか?

この記事では、CXの意味や向上方法を紹介します。有名企業による事例も紹介しますので、ビジネスに役立てる際の参考としてお使いください。

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?

カスタマーエクスペリエンスとは?

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、「顧客体験」のことです。製品やサービスの使用感や印象を表す概念で、CXに比例して顧客満足度も高くなります。消費者は常に良いカスタマーエクスペリエンスを求めるため、企業は継続的なCXの向上に取り組む必要があります。

カスタマーエクスペリエンスは、顧客満足度 = 売り上げに直結する

カスタマーエクスペリエンスを向上させるための取り組みは多岐にわたりますが、カスタマーサポートの提供、商品やサービスの改善、アクセス性の向上などが主要項目として挙げられます。継続的な改善には顧客からフィードバックを得ることも重要で、アンケート調査などを通して顧客満足度を測定するのもCX改善の取り組みに含まれます。

また、ワークフォースマネジメントを通じた適切な人員配置・従業員管理も効果的だと言われています。消費者は店員やオペレーターとのやりとりにストレスを感じることが多いため、スムーズなコミュニケーションの提供は体験向上のための重要ポイントだと言えるでしょう。

最近は、AI搭載のチャットボットによるCX向上が盛んなようです。業務の自動化は従業員の負担削減にもつながるため、優先事項として捉える企業が多いと言われています。Amazonなどの主要IT企業は特に、最良のカスタマーエクスペリエンスを提供する企業と評価する人が多いようです。

様々な事業に関係のある概念ですが、小売業や課金が主な収益源であるSNSなどで特に重視される傾向にあります。経営陣だけでなく従業員一人ひとりが常に意識する必要があるため、専用のセミナーや勉強会を開く企業もあるようです。

カスタマーエクスペリエンスの種類

一口に「カスタマーエクスペリエンス」と言っても、様々な種類があります。異なるCXに対しては異なる対策が必要となるため、どのような顧客体験があるかどうかを把握するのは重要だと言えます。

対人のやりとりに関するCX

カスタマーエクスペリエンスの種類   関連するビジネス・・・小売業、飲食業、サービス業など

測定方法・・・アンケート調査、客足の測定

最も代表的なカスタマーエクスペリエンスで、スタッフの態度や知見の多さなどが評価項目となります。顧客の対人ストレスを軽減することは、従業員の離職率低減にもつながり、優秀な人材を引き留めることができるという点にも注目です。

待ち時間に関するCX

カスタマーエクスペリエンスの種類関連するビジネス・・・小売業、娯楽業、サービス業など

測定方法・・・通信速度や回転率の測定

ここで言う待ち時間とは、購入にかかる時間やウェブサイトの読み込み時間など、商品・サービスを利用するためにかかる時間全体を指します。直接測定可能なのが特徴で、時間節約を可能とするビジネスは無条件に高い競争力を持ちます。

利用方法に関するCX

カスタマーエクスペリエンスの種類関連するビジネス・・・小売業、金融業、情報通信業など

測定方法・・・アンケート調査、購入頻度の測定

プランの種類や支払い方法、アクセス性、利用可能時間帯などに関するカスタマーエクスペリエンスです。顧客にとって都合の良い方法で商品を提供することは、購入頻度の上昇による販売数の増加も促すことができます。

製品・サービスの使用感に関するCX

カスタマーエクスペリエンスの種類関連するビジネス・・・製造業、サービス業、運送業など

測定方法・・・商品レビュー、苦情件数

提供する製品・サービスの質は、ブランドイメージや市場競争力に直結する要素です。製品の信頼性を高めることで、苦情や返品・交換依頼などを減らすこともできます。また、このことはサポートの負担を減らすことにもつながり、人件費の削減にもつながります。

カスタマーエクスペリエンスの向上方法

カスタマーエクスペリエンス 向上方法

カスタマーエクスペリエンスを向上させるためには、効果的な戦略設定と着実な施行が欠かせません。戦略の実行力を強化するためにも、研修を通じて従業員の能力強化を図るのも重要です。また、CX向上の取り組みが効果的がどうかを把握するため、顧客から意見を募るのも不可欠です。

具体的には、以下のような過程をたどることが一般的です。

  1. CX向上に向けた目標設定
  2. 目標達成に向けた戦略立て
  3. 従業員への周知
  4. 施行状況の監視
  5. フィードバックの獲得
  6. 分析と改善点の割り出し

1. CX向上に向けた目標設定

最初のステップでは、カスタマーエクスペリエンスの向上を通して何を達成したいかを決定します。収益の拡大、販売数の増加、新規顧客の獲得、ブランドイメージの改善など、焦点を当てる項目を決定して目標を一元化すると良いでしょう。

また、目標達成までの期間設定も欠かせません。KPIと統合するのも効果的で、進捗状況の継続した監視が可能となります。現実味に欠ける目標設定は逆効果となることがあるため、目標は達成可能なものに設定しましょう。

2. 目標達成に向けた戦略立て

目標を設定したら、達成に向けた戦略を設定します。日々の具体的な業務を規定し、変更点や追加業務はあるかどうかを吟味しましょう。現場の意見を募るのは重要なため、リーダー格の人が意見をまとめるなどすると効果的です。

3. 従業員への周知

カスタマーエクスペリエンス向上は、従業員一人ひとりの協力無くして達成することはできません。そのため、設定した目標や戦略は関係部署または社内全体で共有する必要があります。特に関係が深いと思われるキーパーソン(接客担当者など)には、個別ミーティングを行うなどして細部まで周知を図ると良いでしょう。

4. 施行状況の監視

CX向上の取り組みが予定通りに行われているかを監視します。各種メトリクスを使用するのも効果的で、売り上げ、顧客フィードバック、アクセス数、フォロワー数などを監視するようにすると顧客管理が容易となります。

5. フィードバックの獲得

実施中の取り組み(新規オファーやオペレーターの増員など)に対する顧客の意見を収集します。上手くいっている点、改善が必要な点などを割り出し、社員にフィードバックを還元するようにすると効果的です。

6. 分析と改善点の割り出し

目標期間が終了した後は、実施した取り組みの結果を分析します。取り組みの前後でどのような変化があったかを特定し、結果としてカスタマーエクスペリエンスは向上したかどうかを判定します。改善点がある場合は、次に実施する際の引き継ぎ内容として保存しておくと良いでしょう。

カスタマーエクスペリエンスの事例

カスタマーエクスペリエンス 事例

カスタマーエクスペリエンスは、B2C企業にとって最重要と言って良い概念です。そのため、大小含め様々な企業がCX関連の取り組みを行っています。ここでは、eコマース最大手のAmazonと、人気リゾート施設のディズニーランドによる事例を紹介します。

AmazonのCX事例

amazon ロゴ

Amazonは「顧客第一」を掲げる企業で、ユーザーに寄り添った快適なショッピング体験の実現を最優先事項としています。価格や品揃えが注目されることの多いAmazonですが、カスタマーエクスペリエンスの観点からも時代を先取りするサービスを展開しています。以下に、代表的なCX事例を紹介します。

豊富な宅配オプション

Amazonは宅配オプションが非常に多く、時間や宅配場所の指定、週末の配送可否、不在時でも荷物を受け取れる「置き配」など、顧客の好きな方法で荷物を受け取れる仕組みを整えています。これは顧客体験の改善につながるほか、配送ミスや商品破損などの発生を防ぐ方法としても有効です。

【ポイント】1つの取り組みを通じて、CXだけでなく様々な事柄を改善できる

使いやすいサポート

サポートが使いやすいのも特徴で、返品や不具合の報告などが簡単に行えるようになっています。例えば、選択肢をクリックするだけで返品手続きを開始できるシステムなど、顧客のストレスを極限まで低減する仕組みが導入されています。

【ポイント】自動化が可能な領域は積極的に自動化を進める

アクセス性の高い商品

おすすめや閲覧履歴の表示はもちろん、繰り返し購入する商品を表示してアクセス性を向上させています。ワンクリックで商品ページに到達できるため、購入にかかる時間が他の通販サイトよりも短くて済むという利点があります。カスタマーエクスペリエンス向上はもとより、購入頻度の増加による利益拡大も狙える取り組みです。

【ポイント】快適なショッピング体験はブランドイメージの向上にもつながる

ディズニーランドのCX事例

ディズニー ロゴ ディズニーランドは性別や年齢を問わずに人気のテーマパークで、施設全体がアニメーションの世界を体現していると言う点で他のリゾート施設と一線を画します。カスタマーエクスペリエンスの観点からは、最も包括的かつ高度な顧客体験を実現していると言っていいでしょう。

ブランドイメージの徹底遵守

各種アトラクションはもちろん、施設内のショップやスタッフの衣装まで、施設全体がディズニーの世界を体現する包括的なデザインとなっています。顧客の「空想の世界に浸りたい」という願望を実現するための取り組みで、ディズニーコンテンツの強みを最大限活用していると言えるでしょう。

【ポイント】長所を前面に押し出すことで、印象的な体験を作り出すことができる

定期的なアトラクションの追加

ディズニーランドは、今でも定期的にアトラクションを追加・改良しています。常に新しい体験を提供することで客足を増やし、継続的なリピーター獲得が可能です。また、開発を続けることで新鮮味を高め、ブランドに「最先端」のイメージを与えていることも見逃せません。

【ポイント】カスタマーエクスペリエンスは、継続して向上させないと意味がない

待ち時間解消の取り組み

テーマパークは、待ち時間が長くなりやすいという問題があります。ディズニーランドは、アプリやオウンドメディアによる購入プロセスの効率化や、優先的にアトラクションを楽しめる「ファストパス」の導入などを通して、弱点とされる待ち時間の問題を解消する取り組みを行っています。

【ポイント】CX低下の原因を特定し、弱点は優先的に改善する

カスタマーエクスペリエンスまとめ

カスタマーエクスペリエンスの事例や意味を紹介しました。CXはメールマーケティングとも関係の深い概念ですので、メールを使った顧客体験の向上方法は別記事も参照してみてください。