ハマスが仮想通貨で資金調達

ハマスの資金はいかにして集まるのか?

パレスチナ・ガザ地区を実効支配しているイスラム主義組織ハマスはイランから資金支援を受けていることでも知られていますが、その他の資金源として仮想通貨を利用しているとされています。

ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けたのは今月7日ですが、一部報道によるとそれより以前から米国当局ではハマスに仮想通貨の形で資金提供が行われていることを調査していたことがわかりました。

米国政府は3年ほど前からもハマスに関連のある仮想通貨のアカウントを見つけていて、今年5月の段階でも仮想通貨がハマスに流れていることを確認しているとされています。イスラエル当局もハマスと何らかの関係がある暗号資産のアカウントを押収しており、一部の海外メディアによれば資金額は数千万ドル(数十億円)規模にものぼると見られます。

一部の海外メディアの報道によると、ハマスによる奇襲攻撃が行われる数週間前にエジプト政府がイスラエルに対してハマスが攻撃する予兆があると警告を与えたとしています。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「そのような警告はなく、全く根拠のない話だ」と否定していますが、世界でも最先端クラスの諜報機関を有するイスラエルが今回のハマスの攻撃を探知できなかったことについては世界の軍人専門家から疑問を呈されています。

ハマスと仮想通貨の関係

ハマスはFacebookやX(旧ツイッター)などのソーシャルメディアで仮想通貨のウォレットのアドレスを載せた投稿を拡散させていて、世界中の人に寄付をお願いしていたことが米国の国土安全保障省によって確認されています。米国メディアは、2019年にアメリカ・ニュージャージー州に住む男性がインスタグラムに「たったいまハマスに100ドルを寄付した」と投稿し、米国政府によって刑事訴追されました。男性は20ドル分のビットコインをハマスに送金したとして有罪判決を受けています。

今月10日にはイスラエル当局が複数の仮想通貨のウォレットを凍結したと発表しており、これらのウォレットはハマスの奇襲攻撃後に寄付を募っていたとされています。ビットコインの他にもイーサ(ETH)やリップル(XRP)、テザー(USDT)などさまざまな仮想通貨の種類にも対応していたとされており、ハマスがどれだけの資金を調達していたかは不明です。

イスラエル当局が押収したハマスとつながりのある仮想通貨のアドレスを調べたところ、2020年から2023年の間で4100万ドル(約60億円)ほどの資金が近くだったことが米・ウォール・ストリート・ジャーナル紙などの報道で明らかになっています。また、9400万ドルがハマスの関連組織にも流れていたと見られています。