ビットコインの価格が上昇しています。8月後半の下落後、360〜400万円代での取引が続いていましたが、10月18日に約1ヶ月ぶりの高値である429万円を記録しました。
一方のイーサリアムは価格が伸び悩んでおり、8月からの低水準を抜け出せないでいます。明暗を分かつ二大銘柄ですが、今後はどのような展開が待ち受けているのでしょうか。
ビットコインは復調傾向
今週の仮想通貨市場は、一部の主要銘柄で強気の取引が相次ぎました。16日(月)には「米国証券取引委員会が現物ビットコインETFを承認した」という誤報が流れたことで、ビットコイン価格は数ヶ月ぶりの上昇幅を記録しています。
一時は約8%の上昇を記録したビットコインですが、現在はトークン当たり425万円前後で取引されています。今週は価格に大きな変化は見られませんでしたが、1ヶ月ぶりの価格水準の維持は強力なサポートを裏付ける結果となりました。
過去6ヶ月のビットコインの値動き(Google)
200日移動平均線は堅調な勾配率を維持しており、低調傾向にあるイーサリアムとの差が浮き彫りとなっています。今後もビットコインETFを原動力として価格上昇が続く可能性があり、7月に記録した440万円を上回るのも時間の問題と見られています。
ビットコインに連動する形で、Tronなどの一部銘柄も好調を維持しています。年末に年間最高値を更新することで、仮想通貨市場は2022年の「仮想通貨崩壊」から脱却したことを明確なメッセージとして発信できるかもしれません。一方、その他の主要銘柄やアルトコインは揃って脆弱性が露呈する結果となり、イーサリアムに至っては2022年末以来初めて支持線を下回りました。
イーサリアム苦戦の背景
過去1年で上下変動を繰り返してきたイーサリアムですが、8月下旬から10月にかけて連続的な下落を記録しています。これに呼応してか、イーサリアム創始者のヴィタリック・ブテリン氏は19日に「イーサリアムをAIと統合する」計画を発表しました。野心的なプロジェクトに期待の声が上がる一方で、中〜長期的なプロジェクトが今後の価格変動に与える影響は限定的とする見方もあります。
ブテリン氏に関しては、最近になって「私的利益追及のためにイーサリアムを売却しているのでは」という疑惑が浮上しています。9月にはブテリン氏の仮想通貨ウォレットを通じて390万ドル以上の取引が行われており、インターネット上では「イーサリアムを見限ったのでは」という噂もささやかれています。
疑惑を否定するブテリン氏のWarpcast投稿
これに対してブテリン氏は17日、仮想通貨SNSであるWarpcast上で「取引は主に慈善団体への寄付と経費のカバーに関連するもので、個人的に受け取った金はない」とする声明を発表しました。
ブテリン氏は慈善団体のKanroと協力して世界的な感染症対策を行っており、同団体はブテリン氏から公に資金を受け取っています。「個人的な利益の追求ではない」とする同氏の主張は説得力が高く、今回観測されたトークン取引も、自身が行う慈善事業の一環である可能性が高いと言えます。
こうしたことにも関わらず、インターネット上には依然としてブテリン氏およびイーサリアムに対して疑義を唱える人が後を絶えません。ライバル視されているSolanaが勢いを取り戻しつつあることも考えると、イーサリアム復活までには長い道のりがあると言えるかもしれません。