「日本でMBA取得するなんて意味ない」なんて思っている人も多いのではないでしょうか?資格として役に立つけど、キャリア昇進に効果があるか分からないという人も多いかと思います。

この記事では、早稲田、一橋大学、名古屋商科大学でのMBA取得方法を紹介します。大学院ランキングや意味ないという噂への回答も紹介しますので、受験生の人はぜひ参考にしてみてください。

MBAとは?

MBAとは?

MBAとは、経営学修士のことです。英語のMaster of Business Administrationを略した言葉で、経済に関して広範な知識を有することを証明する資格として機能します。就職活動で最強の資格とも言われており、日本のMBAは意味ないという噂にも関わらず応募者の絶えない学科でもあります。

MBA取得は就活に有利

MBAが取得できる日本の大学院は数多くありますが、早稲田、一橋大学、名古屋商科大学は特に人気と言われています。現役の大学生だけでなく、社会人がキャリアアップのために取得するケースも多いという特徴もあります。

コロナ後はオンラインでMBAコースを提供する大学院も増えてきており、以前よりも取得の難易度が下がったと言う人もいます。一方で、留学して海外の大学院に通う人も一定数おり、特に「日本でMBA取得は意味ない」と考える人が選ぶ選択肢だとも言われています。

海外では特に重要性が高く、Cクラス(経営幹部クラス)を狙うのであれば必須とみなす人もいるようです。実際、事業家ランキングなどではMBA保持者がランキング入りすることが多く、『フォーチュン500』で1位に輝いたウォルマートのCEOのダグ・マクミロン(Doug McMillon)氏もMBA取得者のひとりです。

最近では2006年に設立されたグロービス経営大学院など、日本でもMBAに焦点を当てた学科やコースが増えてきました。グロービスは英語による授業も提供しており、経営学修士が国際的に有用であることを裏付けています。

日本のMBAは意味ない?

日本のMBAは意味ない?

MBAは日本でも実用的な資格ですが、一部の人は「日本のMBA意味ない説」を提唱しています。そんな噂に答えるべく、MBAの微妙な点をまとめてみました。

  • MBAが必須な職業がない
  • 専門領域が曖昧
  • 学習内容が非常に高度

MBAが必須な職業がない

海外ではなく「日本の」MBAが意味ないと言われるのは、日本にはMBA取得を必須としている職業が存在しないためです。医師や弁護士などの国家資格が必要な職業と異なり、会社経営にMBAが必要不可欠ということはありません。

また、日本ではMBA自体があまり重要視されていないという現実もあります。欧米のようにCEOの大半がMBA保持者ということがないため、就活時はややインパクトに欠けるというのが正直なところです。

専門領域が曖昧

また、専門領域が曖昧だというのも意味ないと言われる所以です。MBAはビジネス全般について学ぶ学位ですが、学ぶ項目が広範なため、何かひとつについて深い知識を身に着けるのが難しいという問題があります。

また、学んだビジネス手法が実際の会社運営に適用できないということも多々あります。学ぶ内容が理論重視で実用的に欠けると感じる人もおり、そうした面では他の学位に譲るところがある場合があります。

学習内容が非常に高度

MBAは大学院を介して取得する資格です。そのため、学習内容もアカデミックかつ非常に難解であることが一般的です。実際に社会人としてMBA理論をビジネスに適用しようとしても、その複雑さに圧倒されるという人もいるようです。

ただし、難易度の高い内容を学ぶことで基礎をよりよく理解できるというメリットもあります。国境を超えて役に立つ資格でもあるため、国際舞台で活躍したいと考える人は日本のMBAが意味ないと感じることはないでしょう。

MBA取得方法

MBA取得方法

MBAを取得するには、卒業時の資格としてMBAを発行している大学院(ビジネススクール)に通学する必要があります。各スクールが定める入学資格を満たしているか確かめ、応募期間内に必要書類を提出すると審査に移ります。

入学時に試験があることは稀で、ほとんどの場合は①書類審査②小論文③面接の3つで合否が決まります。合格の難易度はスクールにより異なりますが、50〜70%程度であることが多いようです。50%を下回るような場合、難関校とみなすことができます。

入学資格

スクールによって異なりますが、MBA大学院に入学するには次の資格が必要となることがほとんどです。

  1. 関連する学位(経営学学士など)
  2. 社会人としてのビジネス経歴

1に関しては、関連のない学位(理工学など)あるいは学位がないという場合でも入学を認めているところもあります。その場合、ビジネスで顕著な経歴を有している(会社設立経験など)と入学が容易になる可能性があります。

提出書類

また、提出書類として以下のものが必要となります。

  1. 願書
  2. 成績証明書
  3. 卒業証明書
  4. 履歴書
  5. 職務経歴書
  6. 小論文
  7. 推薦状
  8. TOEFLなどの英語スコア

すべて必要ということはありませんが、1〜5の書類は必須としているところがほとんどです。また、海外(アメリカなどの英語圏では特に)の大学院を受験する場合、英語スコアは必須となることがほとんどです。

費用

MBA取得には、平均して400万円前後の費用がかかります。その内訳は「入学費+授業料」で、入学費は100万円程度、授業料は300万円程度のことが多いようです。日本のMBAスクールとして有名な名古屋商科大学は、MBA取得の費用を次のようにまとめています。

MBA取得にかかる費用は、その地域、MBAプログラムの種類(フルタイム・パートタイム)によって大きく変わるので一概には言えませんが、まずざっくりとした金額として、国内MBAの場合はおよそ150万円から650万円まで存在し、海外MBAの場合は平均的に400万程度(生活費除く)となります。

引用元:名古屋商科大学ビジネススクール

日本の大学院の場合、国立の方が入学費・授業料ともに圧倒的に安くなります。私立に加えて半額以下で済むことが多いため、主に費用面から国立大学院を選択する人も多いようです。

また、名古屋商科大学は「欧米と日本でMBA費用に顕著な差はない」としており、留学時に発生する追加費用は生活費や渡航費が主となると考えるといいでしょう。

難易度

MBAは、入学してしまえば取得が簡単な学位です。そのため、難易度は入学時が最も高いと言えるでしょう。入学後は定期試験をパスする必要がありますが、基本的に不合格者は出さない方針をとっているスクールがほとんどです。

例えば、早稲田、慶應、一橋大学、名古屋商科大学などのランキング上位の大学院は、毎年の進級率がほぼ100%となっています。卒業率についても同様で、よほどのことがない限りは学位取得は容易だと言えます。

早稲田のMBA

早稲田 MBA

日本でMBAを取得する場合、早稲田を第一志望とする人が多いようです。具体的な学科名は「早稲田大学 大学院経営管理研究科」で、英語ではWaseda Business School(略称WBS)と言います。

コース

早稲田には、主に次のMBAコースを提供しています(2023年現在)。

  • 全日制グローバル・・・日本語と英語のどちらかを選べる、留学制度あり
  • 1年制総合(全日制)・・・日本語のみで留学なし
  • 夜間主総合・・・夜間に学べる社会人向けコース
  • 夜間主プロフェッショナル・・・さらに高度な内容が学べる専門コース

この他にも、世界的に有名なナンヤンビジネススクールと提携して学ぶ「早稲田-ナンヤンダブルMBAプログラム」などがあります。学費は300〜370万円程度(コースによる)で、かなり高めに設定されています。

難易度

早稲田のMBAコースは倍率が3倍前後で、日本の大学院では最難関校のひとつとされています。そのため、入学が最大の山場だと言えます。

従来は小論文+研究計画書の審査と面接で合格者を決めていましたが、2024年からは小論文がなくなり、一部審査は研究計画書のみとなる予定です。そのため、今後は入学難易度が低下すると予想できるでしょう。

オンライン

早稲田はコロナウイルス対策として、2020年より一部の講義をオンラインで行っていました。現在は対面授業が中心となっていますが、日経ビジネススクールとの共同オンライン講義を行うなどしています。

残念ながらオンライン中心のMBAコースはありませんので、リモートで受講することはできません。ただし、出願など各種手続きは全面的にオンラインをサポートしているようです。

ランキング

早稲田は日本のMBAランキングでトップ5に位置付けられることが多く、国内でも一二を争う人気校だと言えます。慶應が最大のライバルで、Eduniversalのランキングでは慶應・早稲田ともに最高の五つ星を獲得しています。

一橋大学のMBA

一橋大学 MBA

一橋大学は、早稲田に次いで有名なMBA大学院です。国立のため学費が安く、豊富なプログラムと国際的な学習環境を通じてビジネスが学べるのが特徴です。オンライン講義もあり、社会人も受講しやすいのは一橋ならではの魅力と言えるでしょう。

コース

一橋大学のMBAコースは、全日制の「経営分析プログラム」と、夜間のみの「経営管理プログラム」および「金融戦略・経営財務プログラム」があります。どのコースも1年制と2年制がある、言語も英語と日本語のいずれかを選択できます。

【ポイント】学費は入学金は一律282,000円、授業料は年額642,960円。教材費や雑費が発生する(それぞれ10〜20万円程度)が、それでも総額で100万円程度(2年制の場合は150万円程度)に収まるのは非常にお得。

難易度

一橋大学の例年の受験倍率は2.5倍前後で、難関校に位置付けられます。一般入試の場合、一部のプログラムでは小論文と計画書の他に英語または数学の試験があります。過去問などで入試対策する必要があるため、入試難易度は一般的に高いと言えるでしょう。

オンライン

一橋大学は、オンラインのMBA講義もあります。「Zoom」を介したハイブリッド方式を取り入れており、海外から受講する生徒もいると言います。講義室とオンラインの学生がシームレスにやりとりできる仕組みを整えており、国内MBA大学院の中では最先端の取り組みだと言えるでしょう。

ランキング

一橋大学は、QSランキングで2022年、2023年連続で国内1位のMBA大学と評価されています。このランキングはイギリスの大学評価機関であるクアクアレリ・シモンズ(QS)が毎年発表しているもので、一橋が世界的に高い評価を得ていることがわかります。

名古屋商科大学のMBA

名古屋商科大学 MBA

名古屋商科大学は、入学が比較的簡単かつ本格的なMBAが学べることで有名なスクールです。MBA資格の取得方法も豊富で、留学制度も充実しています。オンライン講義はありませんが、多数のMBAランキングで国内トップクラスのMBA大学院と評価されています。

コース

名古屋商科大学のMBAコースは、「EMBA」「MBA」「MSc」「MiM」の4種類があります。MBAとMiMのみ英語で学べるコースもあり、学費は1年制で250万円程度、2年制の場合は320万円程度に設定されています。

【ポイント】ハーバードビジネススクールやインド商科大学など、各国のMBAスクールを対象とした留学制度がある。最短1週間から留学できるほか、留学先での単位取得も認められるため、気軽に海外でMBAを学べるのが魅力。

難易度

名古屋商科大学の受験倍率は1〜1.5倍程度で、難易度は比較的易しいと言えます。倍率が4倍に達している慶應などと比べると、入学しやすいMBA大学院だと言えるでしょう。英語の試験もなく、小論文と面接のみの審査となります。

オンライン

名古屋商科大学はオンライン講義を提供していません。ライブディスカッションを尊重する方針から、オンラインMBAに対しては慎重な姿勢を示しています。ただし、MBAの基礎を学べる「PreMBA」講義や、「MBA公式オンラインストア」など、オンラインを利用した実験的な取り組みを展開しています。

ランキング

名古屋商科大学は、QSランキングの2020年版で国内1位のMBA大学に位置付けられています。また、米『フィナンシャルタイムズ』誌が発表する世界MBAランキングでは、国内MBAスクール初となるランキング入りを果たしました。『Eduniversal』のランキングでも、慶應と早稲田に次ぐ四つ星大学院と評価されています。

MBA大学院ランキング

グロービスは「日本のMBAに関する公式ランキングは存在しない」としていますが、出版社などのメディアは独自の調査に基づいたランキングを発表しています。

ここでは、イギリスの教育機関による「QSランキング」と、フランスの教育系コンサル会社『Eduniversal』による日本のMBAランキングを紹介します。

日本のMBAランキング(QS)

国内(アジア)ランキング MBA大学院
1(18) 一橋大学
2(22) 名古屋商科大学
3(31) 早稲田大学
4(42) 立命館
5(44) 国際大学
6(46) 同志社大学

出典:『QS Glocal MBA Rankings』

2023年のQSランキングでは、一橋大学が国内1位のMBA大学院に輝く結果となりました。一橋大学が同ランキングで1位を獲得するのは3回目で、2022年から2年連続での1位獲得となります。慶應がランク外となった以外は、概ね納得の結果と言えるでしょう。

QSランキングは「雇用されやすさ」に焦点を当てたランキングのため、一橋大学が1位となったのは就活におけるMBA資格の強さが評価された結果と言えます。また、「学費に対する教育内容の充実度」でも高い評価を集めており、これは国立大学故の学費の安さによるものと言えます。

日本のMBAランキング(Eduniversal)

評価

MBA大学院

★★★★★

  • 慶應義塾大学
  • 早稲田大学

★★★★☆

  • 京都大学
  • 東京理科大学
  • 名古屋商科大学
  • 神戸大学
  • 一橋大学
  • 国際大学

★★★☆☆

  • 明治大学
  • 北海道大学
  • 立命館アジア太平洋大学院
  • 関西大学
  • 青山学院大学
  • 東北大学
  • 九州大学
  • 法政大学

★★☆☆☆

  • 立教大学
  • 同志社大学
  • 筑波大学

出典:『Eduniversal Ranking』

Eduniversalのランキングでは、慶應と早稲田が国内MBAで唯一の五つ星を獲得しました。どちらも、同ランキングが重視する「国際的影響力」や「学会への貢献度」などが評価された結果と言えます。

Eduniversalは、各MBAスクールの学部長が他のスクールを評価する仕組みも採用しています。早稲田と慶應がトップに輝いたのは、留学先などとの友好的な提携関係を反映したものだと言えるでしょう。日本のMBA意味ないという意見を払拭する結果と言うこともできるかもしれません。

MBAまとめ

日本のMBA大学院について紹介しました。ランキング入りを果たした早稲田、一橋大学、名古屋商科大学などは、社会人にも易しい夜間コースや、充実した留学制度があることで人気となっています。

MBA資格は、就活に非常に有利なのが最大の魅力です。日本でMBAは意味ないと考える人もいるようですが、国際舞台におけるMBAの強さは否定できません。取得方法が複雑と感じる人は、大学院が提供している準備コースなどを受講してみるのもおすすめです。